1 音楽科の教育課程について−指導計画の作成など


 近日中に発売予定の『小学校音楽教育実践指導全集』では、新学習指導要領の趣旨や内容を受けて、指導計画の作成について執筆しました。本文を抜粋し、内容の一部を紹介します。

 

 

第2節 指導計画の作成
 題材の設定とその配列によって年間指導計画は作成される。年間を通して児童に獲 得させたい学力の全体像を基本に、指導内容や学習活動、教材となる楽曲や配当時数等を具体化することで、一般的には年間を通して10〜15程度の題材が設定される。

1 指導計画作成にあたっての配慮事項
 限られた授業時数で児童の学力を確実なものにしようとするには、目標を焦点化し た指導を行う必要がある。すなわち、一回の授業で児童に獲得させたい内容を精選し、 重点的な学習活動に取り組ませるようにすることである。そのためには、題材を設定 するにあたって、次のような点に配慮することが望ましい。
(1) 指導内容の重点化
題材における指導内容を重点化することで、目標を焦点化した学習に取り組ませる ことができ、指導内容の定着が図れる。具体的には、題材を設定するにあたって、次 のような視点に配慮することである。
 ・季節や情景など音楽の表す気分や曲想を十分に味わう題材
 ・音楽的な感受を深める題材
 ・音の重なりや和声に重点を置いた題材
 ・楽曲の構成に重点を置いた題材
 ・表現の技能の伸長に重点を置いた題材
 ・表現の工夫に重点を置いた題材

(2) 学習活動の焦点化
 音楽の様々な活動には、それによって獲得される技能や能力に違いがあり、音楽科 の目指す多様な学力を身に付けさせようとするのであれば、多彩な活動に取り組ませ るとともに、各々の活動を十分に深める必要がある。題材の設定にあたっては、「歌唱の活動を深める題材」「器楽の活動を深める題材」「創造的な活動を深める題材」「鑑賞や聴取の活動を深める題材」などの視点に配慮する必要がある。

(3) 教材の精選
 教科書には多くの教材楽曲が掲載されており、それらを全て取り上げることは不可 能でありその必要もないのである。指導計画の作成にあたっては、教科書やその他の資料から題材の主題や目標に合う教材楽曲を選択することになる。その際は、各々の楽曲を十分に深められるよう、教材の量が多過ぎないよう配慮する必要がある。

なお、我が国や諸外国の多様な音楽を幅広く体験させることは、さまざまな能力の伸長と音楽的な視野の拡大に役立つので、次のような視点で題材を設定することも考えられる。
 ・日本の伝統音楽や郷土の音楽を教材とした題材
 ・世界に民族音楽を教材とした題材

(4) 題材の規模の適正化
 今改訂では、高学年の年間授業時数が50時間に削減された。単純に考えると、これは週当たりの授業時数が1〜2時間ということで、教育課程の編成によっては、ある期間週1時間の授業も有り得るということである。その場合、配当時数が10時間の題材を設定したとすると、数ヶ月にも及んで同一の題材に取り組まなければならないと
いうことになる。このようなことも考慮し、指導期間が余りにも長期に及ばないよう、適切な規模の題材にすることが望まれる。

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