歌に誘われてD
「長崎の鐘」
近藤執行委員長が歌い続けて欲しいと書かれた「今、長崎は春景色」。掲載されていた楽譜をもとに、早速ピアノで弾いてみました。優しく素直なメロディーで、春の長崎が描かれています。伴奏のコードもシンプルで、ギターですぐ伴奏できる親しみやすい曲です。76年の歌謡界は、加山雄三が「僕の妹に」を、芹洋子が「四季の歌」を、そして森田公一が「青春時代」を歌っていました。春景色ユニットが本選でテレビ出演されていたら、もしかして大ヒット曲になっていたかも知れませんね。
日本を代表する作曲家、武満徹さんが亡くなる前にテレビでコメントされていました。「情報網が発達して世界が近くなり、お互いが理解し合うようになるのはとってもいいことだけど、歌は、せめて歌だけは、それぞれの人の歌があっていいんじゃないかなあ」。現代音楽を数多く手がけてきた武満さんの言葉は、重みがありました。今、長崎は春景色はまさしくそんな歌のひとつでしょう。
「長崎の唄、長崎の音」コンサートのキャンペーンを兼ね、今年はいろんな会場で長崎の唄を取り上げて演奏しています。何かリクエストはありませんか、とお聞きすると必ず返って来るのが「長崎の鐘」。この曲に対して長崎の人たち、特にある世代から上の方たちは、特別な想いを抱いているようです。永井隆博士の「長崎の鐘」の本から構想を得て、親交のあったサトウハチロウが作詞、古関裕而が曲をつけています。藤山一郎の歌でコロンビアレコードから発売されたのが昭和24年4月。前半が、しめやかな短調で始まり、後半は長調に転調します。合唱団の合同の演奏会では、参加者がステージに横一列に並び、会場と一緒に感動的な大合唱をするというお話しも耳にします。
永井博士の生誕100年にあたる今年、平和会館で行われた記念式典ではポエで演奏を、医学部の良順会館で行われた吉永小百合原爆詩朗読会では、ピアノを弾かせていただきました。改めて、自分が長崎で音楽活動をしているのだと強く思いました。
ところで、皆さんは「南天の花」と言う曲をご存知でしょうか。永井博士の詞に、赤とんぼやこの道で有名な山田耕筰が作曲をした歌曲です。
この曲も、山田耕筰の歌曲らしく、曲の始めは「ソドレミ」のメロディーで始まります。「南天の花 咲きぬ。ひそかに 咲きぬ。面影は 悲しかるもの」と格調高く歌われていて、ピアノパートもシューマンの歌曲のように美しく書かれています。まもなく、長崎の八月。以前、チェリストのヨーヨーマが長崎の平和コンサートに出たいという話しがあり、長崎市が状況がよく分からずお断りしたと言う話しを聞きました。もったいないことをしたものです。これもずいぶん前ですが、小澤征爾さんは、自分のコーラスグループを引き連れ、平和公園で演奏されました。「平和は、個人の心の問題だから」とおっしゃいながら。小澤さんはその後、浦上天主堂で復活コンサートをされましたが、その後は長崎との接点がありません。この夏、私も自分の心に向かって歌を歌いたいと思います。
(2008年7月 長崎県音楽連盟 堀内伊吹)
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